Q10.預金しても、万一の場合には1000万円までしか補償がない?

50代の会社員です。
最近、いろいろありまして、2000万円ほど、入ることになりました。

定年まで、まだ、間がありますので、定期預金に入れておこうと思ったのですが、ひとつ気になることがあり、ためらっています。

以前、聞いたことがあったと思うのですが、確か、銀行の預金では、万一の場合の補償は1000万円までだったように記憶しています。

預け先は慎重に選ぼうと思うのですが、何かの時に半分になってしまうのでは困ります。
何か、いい方法はないでしょうか?

A.決済用預金に預金すれば、全額補償されます。※利息が付きません。

銀行の預金では万一の場合の補償が1000万円まで、というのはある程度、事実ですが、100%正しいわけではありません。

これは預金保険の話になりますので、預金保険についてのご説明と、対応策について、以下に順にご紹介します。参考にしていただければ幸いです。

まず、預金保険についてですが、これは、<万が一金融機関が破綻した場合に、預金者等の保護や資金決済の履行の確保を図ることによって、信用秩序を維持することを目的とした制度>です。

預金保険に関しては、預金の分類が合計3種類あり、それぞれで保護される範囲が異なっています。

まず、預金の分類についてですが、大きく分けて、預金保険制度の対象となる預金と、預金保険制度の対象にならない預金の2種類に分けられます。

このうち、<預金保険制度の対象となる預金>はさらに、決済用預金一般預金等の2つに分けられます。したがって、合計で3種類に分類され、それぞれで保護される範囲が異なっているというわけです。

次に、それぞれの分類に含まれる預金と保護の範囲について、見ていきたいと思います。
具体的には、以下のようになっています。

■各分類に含まれる預金
・決済用預金:当座預金・利息の付かない普通預金等
・一般預金等:利息の付く普通預金・定期預金・定期積金・元本補てん契約のある金銭信託(ビッグ等の貸付信託を含む。)
・預金保険制度の対象外預金等:外貨預金、譲渡性預金、無記名預金、架空名義の預金、他人名義の預金(借名預金)、金融債(募集債及び保護預り契約が終了したもの)

■預金保険による保護の範囲
・決済用預金:全額保護
・一般預金等:金融機関ごとに預金者一人当たり、元本1,000万円までと破綻日までの利息等が保護
・預金保険制度の対象外預金等:保護対象外

以上のように、決済用預金ですと、残高に関わらず、全額保護されます。

定期預金や、利息の付く普通預金などでしたら、元本1000万円までと利息等が保護されます。これは、各金融機関ごとに預金者一人当たりの額です。

外貨預金などは、最初から預金保険制度の対象に入っていませんから、1円も預金保険では保護してもらえない、ということになります。

ここでひとつ注意しておかなくてはならないのは、上記の分類は、あくまで、預金保険制度の対象となっている金融機関での預金に限る、ということです。

預金保険制度の対象となっている金融機関は、日本国内に本店がある銀行/信用金庫/信用組合/労働金庫/信金中央金庫/全国信用協同組合連合会/労働金庫連合会、です(ゆうちょ銀行/商工組合中央金庫も含まれます)。

これら以外の金融機関での預金に関しては、最初から、預金保険制度の対象にはなりませんので、ご注意ください(たとえば、上記金融機関の海外支店や政府系金融機関、それに外国銀行が日本に開いている支店での預金に関しては、対象外となります)。

次に、ご質問に関する対応策ですが、以下の2つがあろうかと思います。

・預ける金融機関を分散し、それぞれ1000万円ずつ(またはそれ以下)、定期預金する。
・利息がなくても構わないのであれば、全額、決済用預金に預金する。

金融機関を分散して定期預金を組めば、利子も付き、全額補償されますが、金融機関が増えた分、多少、手間もかかります。

全額、決済用預金に預金すれば、金融機関も1つで済みますし、非常にシンプルで手間もかからず、しかも全額補償されますが、利息が付きません。

以上、メリット、デメリットをお考え合わせの上、ご決断いただければと思います。