Q4.定期預金を預けたまま忘れていたら、どうなりますか?

定期預金について疑問に思ったことがありましたので、質問させてください。
定期預金って、満期がありますよね?

何らかの理由で、満期が来たのにそれに気づかず、何十年も放置してから気づいた場合、その定期預金のお金はどうなるのでしょうか?

きちんと返してもらえるのでしょうか、それとも、時間が経ったら、もう無理なのでしょうか?

もし無理だとしたら、どのくらいまでの期間だったら、忘れていても大丈夫なのでしょうか?

A.法律論では銀行がお金を返す必要はなくなる。

定期預金を預けたまま忘れていたらどうなるのか、というご質問ですが、これに関しては、<定期預金の時効>の問題になってきます。他のものと同じように、定期預金にも時効があります。

この時効を過ぎた場合、金融機関の側は、すでに時効になってしまっているため、定期預金のお金を返す必要はない、ということになります。

ただし、これはあくまで法律論でして、実際には、時効になっていたとしても、定期預金のお金を支払ってもらえる場合が多く、時効を盾にとって支払ってもらえないケースは、ごく一部の例外的なものということができます。
(ちなみに、時効になったために払ってもらえない状態になることを、<時効消滅>といいます。また、この場合の時効のことを、正式には、<消滅時効>と言います)。

次に、<どのくらいの時間が経ったら時効になるのか>、ということについてですが、これに関しては、まず、<いつの時点から、日にちを数え始めるのか>ということが重要になってきます。

<どのくらいの時間が経ったら時効になるのか>の時間のことを<時効期間>と言い、<時効期間>が始まる時点のことを<起算点>と呼びます。

<起算点>に関しては、その定期預金が<自動継続型>か、そうでないかによって、変わってきます。

まず、自動継続ではない定期預金について、ご説明します。

自動継続でない定期預金の場合、満期日が時効期間の起算点になります。満期になった日から、どのくらいの日数が経過したのかによって、時効になったかどうかが決まる、というわけです。

次に、自動継続型の定期預金の場合について、ご説明します。

自動継続型の定期預金の消滅時効の起算点については裁判所の判決が出ており、<原告からの預金解約申入れした後に来る満期日>が起算点となります。

分かりやすく言うと、預金者がその定期預金の解約を申し入れたあとの満期日が、起算点となるということです。

起算点については以上の通りですが、次に、<時効期間>について、ご説明します。
時効期間は、<5年>の場合と、<10年>の場合があります。

このうち、5年というのは商事消滅時効のことで、<商法上の「商行為」によって生じた債権>に関して適用されるものです。

たとえば、銀行は商法では「商人」に該当しますから、銀行への預金の場合には、商事消滅時効の5年が適用されます。

また、商法では「商人」に該当しない信用金庫や信用組合に預ける場合でも、預ける側が「商人」に該当する場合には、やはり商事消滅時効の5年が適用されます。

一方、10年というのは、民事消滅時効のことです。

これは、上記に該当しないケースのことで、預金を預かる側も、預金を預ける側も、どちらも商法上の「商人」に該当しない場合には、民事消滅時効の10年が適用されます。

以上のように、いろいろとややこしいのですが、整理すると、以下のようになります。

・起算点に関しては、その定期預金が自動継続型か、そうでないのか、で2通りに分かれる。
・時効期間に関しては、預かる側(金融機関)と預ける側(預金者)のどちらか片方でも商法上の「商人」に該当する場合は5年、両方とも該当しない場合には10年となる。